会員からのおたよりLetter
藤田 宗久さんからのおたより
会員の皆さんの近況やエピソード、また同窓会活動、大学への思い入れなどをQ&Aでご紹介させて頂きます。
今回は、当支部同窓会会員の藤田宗久さん(1990年(平成2年)経済学部経済学科卒)です。藤田さんは、新居浜市に在住され、刀匠としてご活躍中です。
先日9月5日(金)に「世界に一本の・・この夏、女子高生たちの挑戦」と題して、南海放送のニュース番組で放映されましたので、その内容をご紹介します。
「普段やらないことが出来るので楽しみです」と、埼玉県立松山女子高等学校地学部(リンク)の生徒たちが、この夏、刀鍛冶に弟子入り。
貴重な和鉄(砂鉄を、たたら吹きして精製)で、包丁を作ろうと挑戦。藤田さんも、「一つの製品として命を与えないといけないので、私の力をお貸しして一つの作品にしてあげようと思います」と、意気込み。
刃物作りの第一歩は、和鉄の下処理(鍛錬)、この鍛錬で和鉄の不純物を取り除き、千層以上に折り返し、強い鋼を作っていく。「真夏は暑いです。たまらんです。火なんか使いたくない」と、藤田さん。
そして、おそるおそる生徒たちの挑戦が始まる。先ずは「あらのべ」最終的な包丁の形を決める重要な作業に藤田さんが助言「金槌の角が入っているから手元を起こして・・今ちょっと早いからコントロールできてないから・・トントントントントン・・」
生徒たちも、しばらくすると上手く叩けるようになり、ちょっとリラックス。「金槌が重いんで右手が疲れました」でも「ただの鉄の板だったのが、形になってくると面白い」と、感想。
合宿の楽しみは食事、現場の方の手作り料理。今日は、スパゲッティ・ボロネーゼかな?とおどけて笑い。「美味しいです」と、生徒たち。藤田さんは「普段はさびしく一人で食べていますからね」と、女子高生と一緒に食事できるのがうれしそう。
刀匠・藤田國宗作「短刀」で、鋭く紙切りを行う様子を見て目標とする刀身の美しさと切れ味を実感した生徒たち。作業に熱が入る。
次が、刃物に命を吹き込む行程「焼き入れ」、焼刃土を固くしたい部分には薄く、やわらかく粘りを出したい部分には厚く塗る。包丁の出来を左右する重要な作業。
そして、真っ赤に熱をおびた包丁を水で一気に冷やす。成功か失敗か。砥石で砥ぎ、刀文を見ないと分からない。
そして、やった!・・成功出来上がり、生徒たち大喜び!
「将来、お嫁さんに行く時に、持って行こうと思っています」と、感激!
女子高生たちの夏休みの挑戦、砂鉄取りから始まったこの行程には、切れ味の鋭さもさることながら、人を結びつける力もあったのです。
Q1.プロフィールを教えて下さい。
平成2年 | 本学経済学部卒業 |
奈良県無鑑査刀匠 河内國年に師事 | |
12年 | 独立を許され新居浜市星越町にて、國宗鍛刀場を開設 |
刀剣文化研究所 髙山武士に師事 | |
14年 | 新作刀展に出展 入選 |
18年 | 名古屋、熱田神宮大前にて太刀謹作 |
21年 | 名古屋、熱田神宮遷座に伴い本殿、御神宝(直刀)謹作 |
26年 | 名古屋、熱田神宮にて、二度目の太刀謹作奉納 |
現在に至る |
Q2.なぜ刀匠になろうと思われたのですか?
元々、刀(刀の姿、刀文の働き、地鐵の美しさ)が好きでしたが、現代において古刀(平安の終わり〜戦国時代までの刀)を再現することが不可能と言われてきました。何とか、この壁を崩そうと思い、この世界に入りました。
Q3.同窓会に出席してみようと思われた動機は?感想もお聞かせ下さい。
刀工は作家活動ですので、作品が確立されて安定して世に出せるようになるまでは、同窓会に参加する余裕すらありませんでしたが、仕事にも自信が出来、家も購入した機会に参加しました。同窓会の方にあたたかく迎えていただき私も家内も気持ちよく参加できました。
Q4.卒業した現在の阪南大学についてどのように思われていますか?
私たちの時は、まだ学部が少なく男性がほとんどでしたし、ある意味はなやかさがなかったように思われます。現在は、校舎も新しく明るく何かここから将来に希望がもてるような気がしますし、後輩の方ががんばっているのはOBとして大変うれしいです。
今日(11月13日)は、お忙しい中、実演もまじえてご説明いただきありがとうございました!
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